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短編小説『鬼の皮』その22

第二十二回です。

美顔ローラーで猫や犬の顔を撫でるおばちゃん。

効果ってあるのかなぁ……。

それでは、続きを読む、をどうぞ!


スライムはランドセルが燃え尽きるよりも早くに燃焼してしまった様で、
隙間からはみ出ていた部分も黒い煤になっていた。

「何時から賢治は……いや、そんな事はもうどうでもいい。
お前はよく賢治を真似出来ていた。だから許せねえんだ。
……糞、賢治の父ちゃんと母ちゃんに合わせる顔が無(ね)え……」

俺は紫葉の傍に寄って、手を差し出した。

「メタノールとライターくれ」

紫葉は俺が何をするのか察した様で、
何も言わずにメタノールの入った瓶とジッポライターを渡してくれた。

俺はスライムが脱ぎ捨てた賢治の皮の方に歩き出した。

一歩一歩が重い。

興奮が醒(さ)めて、さっきの戦いの恐怖が今になって湧(わ)いてきたのもあるが、
これからやる事の意味を理解するのに頭ばかりに血が行っている所為だ。

足がなかなか前に進まない。

だけど、俺がやらなきゃならない。

賢治の父ちゃんと母ちゃんの顔をまっすぐ見られなくなっても、
こんな無惨(むざん)で意味の解らない残骸(ざんがい)を見せる事だけは絶対にあっちゃならない。

骨も残ってないんだ。

遺骨が無いんだ……。
一体どうやって、この皮を頼りに賢治の温もりを思い出せというんだ?

賢治の皮の前まで来てしまった。

重過ぎた歩は案外と短く、それ故にその過程の濃密さが全身に重圧となって伸(の)し掛かった。

メタノールの入った瓶の蓋を開こうとするが、捻る手が震えてしまう。

これをやらせない為に、紫葉は日誌を渡そうとしていた。

だけど、俺はそれを選ばなかった。選ばなかったんだよ……。

だから、俺がやらないと……。

それがこの場での俺の義務だから。

果たす。ただそれだけだ。

賢治の皮にメタノールを掛けた。

「なあ賢治。こんな終わり方って無いよなぁ……」

俺はジッポライターの蓋を開いて、着火した。

「だけど、これが俺に出来る精一杯なんだわ……。済まねえ……」

俺は手からジッポライターを落として、賢治の皮が燃え出す様(さま)をじっと見つめていた。
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